【事例1】相続手続の流れ

最初に、相続手続きの流れについて見てみましょう。

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私は50代の女性です。先日、父が亡くなりました。
父名義のものは、自宅と、預貯金があります。
父が亡くなって何かと入り用なので、預金をおろしに行ったら、
口座がロックされておろせませんでした。
銀行の担当者に聞いたら「相続手続きが必要ですね」といわれました。
自宅の名義も変えたいと思います。

相続手続きはどのようにしたらよろしいでしょうか?

・この事例のポイントを先に見る
 
・戸籍を取れる人、取れない人
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・口座のロックに事前に備える方法
のページを先に見る

家族が亡くなられ、とても悲しい思いをしている中で、
しなければいけないのが「相続手続き」です。

家族が亡くなると、葬儀や病院に対する支払など、何かとお金がかかります。

そこで、お金をおろしに銀行に行くと、この事例のように、
「相続手続が必要です」と銀行の窓口で言われ
お金はおろせません。

相続の手続は、昔の戸籍を集めたり、住民票や印鑑証明書を取ったり、
いろいろな書類に記入したりと、とても大変。
誰もが遭遇する、法律問題です。

ある方は、「相続の手続きが大変で悲しんでいるヒマもなかった」と言っていました。
では、家族に相続があったとき、手続はどのように進めていけばよいのでしょうか?

家族の相続 手続の手順と方法

家族に相続があったとき、手続きは初めての経験のことが多く、
何から手をつけたらいいかわからないことも多いと思います。

相続手続きはどんな流れで進めていけばよいのでしょうか?

相談者の事例ですが、どんな方でも遭遇する可能性がある典型的な事例です。

【手順1】亡くなった方の戸籍を集める(相続人の把握)
【手順2】財産の把握(特に借金や保証人になってないか)
【手順3】財産をどのように分けるか相談(遺言の確認)
【手順4】必要書類の作成
【手順5】銀行や法務局で、名義変更手続き

それでは、一つずつ、見ていきましょう。

<手順1>亡くなった方の戸籍を集める
(相続人の把握)

亡くなられたご家族が住まれていた市区町村の役所に行って、
「相続で必要なので戸籍をください」
といえば、相続で必要となる戸籍一式を出してくれます。

筆で書いたような昔の戸籍からコンピュータで印字された現在の戸籍まで、
何通も出されると思います。
しかも、昔の戸籍の筆頭者の生まれた年が「安政○年」とか書いてあったりして、
幕末を生きた自分の先祖の歴史も感じます。

亡くなった方が、生前、他の市区町村に本籍を移している場合は、
その分の戸籍はその移した市区町村でとれます。

戸籍には、その人が歩んできた人生が記録されます。

  • 生まれたこと
  • 結婚や離婚したこと
  • 子供が生まれたこと
  • 養子縁組をしたこと、

などなど、が記録されています。

戸籍を見ると、亡くなった方の相続人がだれか、正確にわかります。
通常は子どもと配偶者です。

しかし、専門家(司法書士や弁護士)に見てもらった方がいい時があります。
それは、次のようなときです。

  • 子どもが先に亡くなっている
  • 何度か結婚していたりしている
  • 子どもがいない

このようなときは、相続人が誰かわかりにくいこともあります。
後で、「相続人で 抜けてた人がいた」、なんてことになると大変なので、
専門家(司法書士や弁護士)に見てもらった方が安心です。

<手順2>財産の把握
(借金や保証人になってないか)

財産で典型的なものは、預貯金と不動産ですよね。

亡くなった方が持っていた預貯金と不動産の調べ方は
どのようにすればよいのでしょうか?

預貯金は通帳があれば、口座があることの確認になりますよね。
通帳もなく口座を持っていたかもしれない場合、どうするかが問題です。

口座を持っていたと思われる金融機関に行き、口座の有無を調べてもらいます。
その際は、亡くなった方の戸籍や、
あなたの免許証などの身分証明書が必要になるでしょう。

金融機関によっては印鑑証明書や実印も必要なところもありますので、
あらかじめ取っておけば、二度手間にならないと思います。

この確認は、金融機関の支店ごとで行わなければいけません。

亡くなられた方が口座を持っていそうな金融機関の
全ての支店で行う必要がありますので、
けっこう手間かもしれません。

一方で不動産の調べ方は比較的簡単です。

毎年、5月頃に、市区町村から固定資産税の納税通知が届きます。
その通知の中に、土地や建物の一覧(課税明細書)がありますので、
それで確認できます。

また、市区町村の資産税課などで、固定資産の評価証明書をもらうと、
その市区町村にある不動産の一覧と評価額がわかります。

土地建物の名義を移す手続き(相続登記)で
固定資産の評価証明書を使うことがありますので、
評価証明を取っておいた方がいいと思います。

評価証明は、不動産がある全ての市区町村で取ってください。

このように、亡くなった方が、どんな財産を持っていたかを把握するのは
手間はかかりますが、比較的簡単です。

しかし、気をつけなければいけないこともあります。

それは借金です。

借金も相続されるのです。
借金ならまだわかりやすいですが、人の保証人になっているケースもあります。

借りた人が順調に返してくれればいいですが、
支払ができなくなると保証人に請求されます。
この請求も相続されるんです。

ある日突然、金融機関から
「保証人として、お金を払ってください」
と通知が来ることもあります。
保証は怖いですね。

特に、自営業や会社経営者など、
商売をされていた方だと、借金があったり、
人の保証人になったりしていることもありますので、
気をつけてください。

もし、多額の借金が判明したら?

そのときは相続放棄です。

これは、家庭裁判所でする手続です。
ご家族が亡くなってから3ヶ月以内
(正確には自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内)にする必要があります。

あまりのんびりできないですね。
相続放棄についてはまた改めて詳しく説明します。

<手順3>財産をどのように分けるか相談
(遺言の確認)

通常は、相続人が誰かわかっているし、どんな財産があるか知っていると思います。

葬儀の時などに、ご家族(相続人)で、
亡くなった人の不動産や預貯金をどうするかを話し合うこともあるでしょう。

この財産をどう分けるかを相談した話し合いを
「遺産分割協議」
といいます。

これは相続人全員で相談する必要があります。

亡くなった方が遺言を残されていたら、原則その通りに財産を分けることになります。

遺言を書かれている方はあまりいないので、
普通は、遺産分割協議をすることになります。

遺言があったとしても、不動産を誰にやるかしか書いてなければ、
預貯金の分け方については遺産分割協議が必要です。

遺言が無効になることもあります。
特に自筆で書いた場合は、書き方が法的に正しくなく、無効になることがあります。
ですから、遺言があっても遺産分割協議が必要なことがあります。

95%くらいの人は遺言は書いていませんので、
ほとんどの場合、相続手続には遺産分割協議は必要になります。

<手順4>必要書類の作成

遺産分割協議で遺産をどう分けるか決まったら、それを紙に書きましょう。
この遺産をどのように分けるか書いた書類を
「遺産分割協議書」
と、いいます。

この遺産分割協議書には、
相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書もつけます。
更に、相続人全員の戸籍も必要です。

この遺産分割協議書ですが、相続人全員で実印を押さなければいけません。
これが大変なときもあります。

納得しない人がいたり、行方不明の人がいたりすると、全員の印鑑がそろわない。

納得しなくて押さないときは、大変ですが、
行方不明などで押せない人がいる場合は、
法律はそのようなケースもちゃんと想定していますので、
何とかなりますから、安心してください。

そのよう場合どうするかは、後ほど説明します。

遺産分割協議書は次のようになります。
遺産分割協議書のサンプルを示すので、参考にしてください。
遺産分割協議書サンプル

 

<手順5>銀行や法務局で、名義変更手続き

戸籍や印鑑証明書、遺産分割協議書も全てそろえば、
銀行や法務局で名義変更の手続です。

不動産の名義変更は、相続登記の申請書を作る必要があります。

相続登記の申請書は非常に複雑になりますし、
不動産という、とても高価なものを扱うので、
不動産の名義の変更は司法書士に頼んだ方が、
時間も手間も節約できるでしょうし、
安心だと思います。

司法書士に相続手続を頼めば、戸籍などの書類も集めてくれます。
銀行の手続は、名義をもらえる方が窓口に行けば、できると思います。
 

 

 

 
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