【事例2】遺産の分け方

02-1

私は60代女性です。
10年前に父が亡くなったとき、
父名義の自宅を母名義にしました。

今度は、このたび母が亡くなりました。
私は母と同居していました。
ですから母名義の自宅をもらえると思い、兄に話をしたら、

「自分の権利は1/2あるはずだ。
父の相続の時はガマンしたのだから、
今回は、権利分はもらいたい。」
と言ってかたくなです。

母には自宅の他に、預貯金などのお金はほとんどありません。

一方で、私の夫は協力的で、
「今まで実家に住ませてもらったから、
家賃も住宅ローンもかからないですんだ。
多少のお金なら何とかするよ」
と言ってくれています。

兄と自宅を2つに分けるなんて現実的はありません。
何かいい方法はないでしょうか?

この事例のポイントを先に見る

遺産の分け方は、相続人が合意すればどのように分けても自由です。
一人が全部もらって他はもらわないという方法でもいいですし、
相続人全員で均等に分ける方法でもかまいません。

相続人がそれぞれ自分の権利分はほしいと主張しても、
自宅しか財産がなかったらどうしたらいいのでしょうか?

お金なら分けようはありますが、
家を2つに分けるなんて現実的ではありませんね。

法律は一応、そのような時も想定しています。
実際に使う、遺産分割協議書も、法律が想定している分け方を
意識して書きます。
法律が用意した分け方は、次の3とおりです。

  • 遺産をそのまま分ける方法・・・現物分割(げんぶつぶんかつ)
  • 遺産を売ってお金で分ける方法・・・換価分割(かんかぶんかつ)
  • 遺産をもらった人がお金を払う方法・・・代償分割(だいしょうぶんかつ)

一つずつ、説明します。

遺産をそのまま分ける方法・・・現物分割

自宅はAさん、預貯金はBさんという分け方です。
それぞれの財産につき、誰がもらうか決めます。
1区画の土地(1筆の土地)なら、
境界線を入れて、2区画の土地に分けて(分筆)して
それぞれがもらう、という分け方になります。

不動産の他に預貯金などがある時、
不動産はAさんがもらうけど、
預貯金はBさんがもらうという分け方ができます。

相続人が納得していれば、
不動産と預貯金が同じくらいの価値である必要はありません。

最も典型的な分割方法といえるでしょう。

今回の事例では、この方法は難しそうですね。
自宅を2つに分けわけにはいかないですから。

それから、自宅をお兄さんと1/2ずつ
2人の名義の共有にする方法もあります。
しかし、共有にする方法は、将来的にお兄さんや相談者に相続が生じると、
権利が複雑になりますので、
いつかはどちらかの単有名義にした方がいいと思います。

遺産を売ってお金で分ける方法・・・換価分割

遺産を売却してお金に代えて、そのお金を分ける方法です。

財産が不動産しかなく、
しかもその不動産を誰もいらない時は、
このような分け方にする場合もあります。

今回の事例では、
相談者は今後も引き続き自宅に住みたいでしょうから、
この方法は避けた方が良さそうですね。

遺産をもらった人がお金を払う方法・・・代償分割

この財産をもらう代わりに、
もらえなかった人にお金を支払う方法です。

遺産が自宅の土地建物しかなく、
一人がその自宅をもらう場合、
もらえなかった他の相続人にその分のお金を支払います。

その人の権利を買い取る形です。

今回の事例では、相談者のご主人が、
お金なら何とかなると言ってくれているので、
この方法が良さそうです。

いくら払うかは、お兄さんと相談になります。
例えば、自宅を売却した場合1000万円くらいにはなりそうなら、
お兄さんの相続分は1/2ですので、
500万円をお兄さんにお支払いすることになるでしょう。

しかし、いくらで売れるかはとても難しい問題なので、
お兄さんとよく話し合う必要があると思います。

では、もし、相談者がお金を用立てることができなかったら
どうしたらいいのでしょうか?

一概には言えませんが、例えば、自宅は相談者がもらい、
お兄さんに支払うお金を分割払いで
払っていくということも考えられます。

しかし、事前に用意すれば、
そのような時にも対処する方法があります。

他の相続人に支払うお金を用意する方法

次の図のように、
お父さんが会社のオーナーであったり、
評価の高い不動産をお持ちの一方で、
現金があまりない場合があります。

02-2b

跡継ぎとして長男を考えていたとして、
将来お父さんが亡くなられたときに、
長男一人がお父さんの会社や不動産を受け継いだ場合、
他の兄弟から自分の権利分はほしいと言われたら
どうしたらいいのでしょうか?

家や会社を売却してお金を用意する、
なんてことは多くの場合、避けたいでしょう。

実は、事前に準備することにより、
お金を用意する方法があります。

これも保険を活用します。

02-3
右の図のように、
お父さんを被保険者、
跡継ぎである長男を保険金の受取人として、
保険に加入します。

このようにすれば、
将来お父さんが亡くなったときに、
長男は不動産や、会社を受け継ぎ、
財産をもらえなかった、長女や二男には、
保険金で代償のお金を支払うことが可能です。

お父さんとしては、子供を平等に扱いでしょうから、
保険金の受取人を3人それぞれにして、
保険に加入しておきたいかもしれません。
しかし、そうすると、
後を継ぐ人が受け取る保険金が少なくなって、
代償のお金に不足する場合も出てくるかもしれません。

ですから、保険の受取人はあくまでも
跡継ぎにしておきましょう。

このように、
財産が会社や評価が高い不動産しかなく、
後を継ぐ人に残せるお金が少ない場合は、
保険を活用することも一つの手だと思います。

さらに、遺産分割のトラブルを避けるためにも、
遺言は書いておけば、ベターだと思います。

このように、事前に準備しておけば、
後で残された人が困らないようにすることもできます。
これも、家族に対する愛情の一つでしょうね。

 
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